アイドルの曲はハシャいでるだけじゃない！
アイドルの曲といえばやたら「明るくて」「騒がしい」「脳天気」みたいに思われるかもしれません。事実、シングル曲としてリリースされる曲は明るくてポップなものが多いです。なぜならアイドルはボクらに元気をくれる存在だから！
しかしそんなアイドル達のアルバム曲やシングルのカップリングでは、そんなアイドルのイメージとはひと味違う一面も見せてくれています。いわゆる”ギャップ萌え”とか”ツンデレ”ってやつでしょうか（笑）
『普段騒々しいけど、二人きりになったら意外と女性っぽいとこあるんだな…ズキューン（ハートを撃ち抜かれた音）』みたいな感じ。しかも最近のアイドル達は歌唱力が高い人が増えている（※ボク個人の感想です）ので、しっとりした曲を歌うと改めてその実力に感動します。
今回はボクの推しているアイドル達の”聴かせる”しっとり曲を何曲かご紹介したいと思います。
私立恵比寿中学
まずは「エビ中」の愛称でお馴染みの私立恵比寿中学から行きましょう。
「King of 学芸会」を自称する彼女たちは2009年結成、2012年メジャーデビューとアイドルグループとしてはベテランとなってきました。歌唱力・パフォーマンス共にその実力は高く評価されています。
メンバーの増減（エビ中的には「転校」「転入」と呼ぶ）を繰り返しつつ、2019年現在は6名体制。いつも明るい彼女達だが、2017年2月8日にメンバーの松野莉奈さんが急逝するという形でメンバーの一人を失うという試練が襲いました。
感情電車
この曲のMVは松野さんが急逝後、最初に公開されたものです。このMVでは7人のメンバーが楽しそうに箱根を旅行する姿が写っていますが、これには意味があるそうです。
まず松野さんは生前、メンバーのみんなとの旅行を望んでいたということ、そして松野さんがご家族と急逝直前に旅行に行った地が箱根であったこと――。こういう背景を知ればこのMVの中の箱根旅行は松野さんの願いを叶える旅であり、松野さんの影を探す旅でもあるように思えます。
またこの曲は松野さんが急逝する以前に制作され、松野さんが生前最後にレコーディングした曲なのですが、そうした背景に不思議とリンクしているのも感慨深いですね。リリースされた音源には松野さんの声は入っていませんが、幻の”松野バージョン”はその後のツアーの最後に会場に流されました。
そんな悲しみを乗り越えて明るくボクらを元気づけてくれるなんて、改めてアイドルの凄さを思い知らされた、そんな曲です。
「感情電車」収録アルバムはこちら
▲各メンバーのソロ歌唱バージョンのボーナスCDが付いてる！
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曇天
この曲のMVを見た時に大きな衝撃を受けた、エビ中の異色作です。
サウンドがアイドル曲とは思えないギター中心のバンドサウンドで、それに負けないしっかりとしたボーカル。クレジットを見なければ歌っているのがエビ中だと気づかないほどです。そしてMVはアニメーションのみでエビ中本人たちは登場しません！
曲の内容も少し大人な切ない思いを描いていて、これ以外のエビ中曲とは明らかに毛色が違います。それでいて背伸びしすぎる感じもせず、彼女達は見事に歌い上げているのが凄い。バンドサウンドが好きなボクにはどストライクな1曲です！
「曇天」収録アルバムはこちら
▲ボーナスBlu-ray「エビ中 秋空と松虫と音楽のつどい 題して『ちゅうおん』2018」ベストチョイス映像が付いてる！
▲「クリスマス大学芸会2018」で披露されたグループ内ユニットの曲が収録されたボーナスCDが付いてる！
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フィロソフィーのダンス
お次はフィロソフィーのダンスです。
『2015年、音楽的にはコンテンポラリーなファンク、R＆B。歌詞には哲学的なメッセージ込めるというコンセプトの下、活動を開始。』
フィロソフィーのダンス公式サイト より
フィロソフィーとは「哲学」のことです。ノリの良いダンスナンバーも素晴らしいですが、バラードでしっかりと”聴かせる”実力もあります。平成ノブシコブシの徳井健太、ヒャダインなどが番組で紹介したり、バスリズム02では2019年にバズるアーティストの30組に挙げられるなど、注目度の高いグループです。
ボクはFMを何気なく聴いていたら「ダンス・ファウンダー」というとてもノリの良い曲がかかり、これは誰が歌っているんだろうと調べたら、なんとアイドルグループだったという衝撃的な出会いでした！
ジャスト・メモリーズ
フィロソフィーのダンスは4人組で、メロウな歌声の奥津マリリと、パワフルな歌声の日向ハルが主にリードボーカルを担当することが多いが、この曲は日向ハルがメインでソウルフルに歌い上げています。
MVの映像は2018年12月16日に品川ステラボールで行われたホーン・セクションを含むバンド・セット・ワンマン・ライブの模様です。最近は生バンドをバックにライブを行うアイドルグループも多いですが、ファンク・R&B系のサウンドなので他のグループとは一味違うちょっと大人感を醸し出しています。日向ハルが感極まって涙してますが、見てるボクも感動してグッと来ました。
なお、バンドにはこの曲の作曲者であり、フィロソフィーのダンスのほとんどの作編曲を手掛ける宮野弦士さんがギター＆キーボードで参加しており、MVのエンディング部分でのギタープレイがとてもカッコいいです！
「ジャスト・メモリーズ」が収録されたアルバム
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ヒューリスティック・シティ
「ダンス・ファウンダー」「イッツ・マイ・ターン」などのダンサブルな曲のリリースが続いた後、「ラブ・バリエーション with SCOOBIE DO」との両A面シングルとしてリリース。この曲は奥津マリリがメインボーカル。
グループ名の「フィロソフィー＝哲学」が示す通り歌詞が哲学的で難解ですが、「何となく分かる気がする」ぐらいのオシャレ感が良いです（笑）
MVもキラキラしたアイドルっぽいものとは違い、気だるさと哀愁が漂う夜の街が舞台。こういう曲をシングルとしてアイドルがリリースするのは勇気がいると思います。それもこの曲を見事に表現できる実力がある彼女達だからこそ可能なのでしょうね。
「ヒューリスティック・シティ」が収録されたアルバム
▲初回限定（CD＋DVD)盤：ボーナスDVDにはミュージックビデオ、ヒューリック・シティーのメイキングなどが収録
▲初回限定（CD2枚)盤：ボーナスCDには2018年12月16日に東京・ステラボールにて行われたワンマンライブのライブ音源14曲を収録
▲通常盤
▲シングル
「ヒューリスティック・シティー」のダウンロードはこちら
ゆるめるモ！
ゆるめるモ！は3人組のアイドルグループです。
「（窮屈な世の中を）ゆるめる」というメッセージと「You'll melt more!（あなたをもっとトロけさせたい）」という2つの意味をこめて命名された「ニューウェーブガールズグループ」
ウィキペディアより
過激な発言やパフォーマンスで何かと話題を振りまいていたメンバーの一人「あの」ちゃんが惜しくも2019年9月30日付けで脱退となりました。
うんめー
ゆるめるモ！はお世辞にも歌やダンスが「上手い」グループじゃないと思うのですが、聴く人を惹きつける不思議な魅力があります。メンバーの「ようなぴ」や「あの」の声質が子供っぽい可愛らしい感じなので子供の合唱のように心地よいです。
初見ではタイトルが意味不明ですが（笑）、曲を聞けばすぐに「運命」のことだとわかります。キミとボクはどの世界線をたどっても出会う運命だよ、、という内容ですが、とてもファンタジックに仕上がっています。
MVの冒頭で各メンバーが自分の辛い過去やゆるめるモ！に加入するきっかけを語るモノローグがあり、その後の歌唱ではそんな過去を振り払うかのようにカラオケボックスで騒ぎながら歌います。ゆるめるモ！は「辛い時は逃げてもいいんだよ」というテーマのもと結成されましたが、それは彼女達自身にも当てはまるような気がしてMVとオーバーラップして泣けてきます。
「うんめー」収録アルバムはこちら
「うんめー」のダウンロードはこちら
でんぱ組.inc
でんぱ組.incは言うまでもなくボクのイチオシのグループです。
残念ながら推しメンであった夢眠ねむさんは卒業しましたが、もちろん今も変わらず応援しています！
あした地球がこなごなになっても
発売の2ヶ月前に概要が発表された時、なんだか物騒なタイトルに「一体どんな曲なの？？」と想像を膨らませたものです。なんと言ってもこの曲は『ソラニン』『おやすみプンプン』などの代表作を持つ漫画家の浅野いにおさんが作詞を担当するということでも話題になりました。
実際、曲を聴いた時は見事に期待の斜め上を言っていました。でんぱ組.incと言えば「電子音を多用したBPMの早い電波ソング」というイメージが強いですが、メロディアスでセンチメンタルなナンバーであったからです。昔あるアーティストさんの言葉を引用すると、「こういう曲はグループにパワーが有るときにしか出せない」ということだと思います。おそらくこの曲ででんぱ組.incというグループの評価が上がったと思います。
MVは全編イタリアで撮影され、6台のカメラで360度全面を同時に撮影する手法が用いられ、まるで小さな地球にいるかのような映像が収められています。石畳の町並みも美しいです。またレコーディングもビートルズが使っていたことでも有名なイギリスのアビー・ロード・スタジオというなんとも豪華な曲です。
「あした地球がこなごなになっても」が収録されているアルバム
▲ボーナスDVDにはシングル曲のMusic Video、2015年各地を熱く盛り上げたライブフェス映像も収録
▲夢眠ねむ、最上もが在籍時の6名による集大成ベスト。ボーナスDVDにはミュージックビデオも集大成！
「あした地球がこなごなになっても」のダウンロードはこちら
秋の葉の原っぱで
でんぱ組.incは秋葉原発のアイドルです。AKB48のように専用劇場があるわけじゃないですが、「秋葉原ディアステージ」というライブ＆バーでメイドさんとしてお給仕しつつライブを披露していた「店舗系」アイドルです。そうした本拠地があることと、アキバカルチャーをこよなく愛する彼女達は秋葉原への思い入れがとても強いです。
そんな秋葉原をモチーフにしたこの曲は、秋葉原ディアステージでメイドさんとして働くでんぱ組.incのメンバーをイメージした『Dear☆Stageへようこそ♡』を作詞・作曲した清竜人さんの手による楽曲です。でんぱ組.incには珍しい、というか初めてであろう壮大なバラードです。
MVは『UHHA! YAAA!! TOUR!!! 2019』でのライブ映像です。このツアーでのセットリスト最後の曲として披露され、最後の一節はマイク無しのアカペラに挑戦しています。ボクも生で観ていましたが鳥肌が立つくらい感動しました。この映像はNHK大阪ホールでの公演の模様ですが、みりんちゃんが感極まって声をつまらせ、りさちーも涙しながら歌っています。
「秋の葉の原っぱで」のダウンロードはこちら
※「秋の葉の原っぱで」は配信曲で、CDは限定販売であったので一般にはCDの入手は難しいです。
今回のまとめ
いかがでしたでしょうか？ ボクにとっては大好きな胸にジーンとくる曲ばかりなので、皆さんの心にも残ってくれたらとても嬉しいです。
ひところのアイドルブームも少し落ち着いてきて、アイドルに求める要求が高くなり、しっかりとしたコンセプトで活動しているグループが強いように思います。これについてはまた別の機会で書いてみようかと思います。