前回、DTMとは何か?についての簡単なイメージを説明しました。
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DTMをするのにとりあえず必要なもの
前の記事でDTMってなんとなくわかったけど、
何があればDTMができるの?
まずはパソコンとDAWというソフトウェアが必要だよ。
DAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)
DTMをするために最低でも必要なのはDAW(読みはディー・エー・ダブリュー、ダウなど)という打ち込みなどを行うソフトウェアです。
簡単に言うと、DAWに音符を打ち込んでやると、DAWに接続されたシンセサイザーを演奏してくれる、ということになります。「音符」とは言っても、MIDIデータの打ち込みは上記の画面例のような「ピアノロール」という入力方式が多いです。
このピアノロール画面左にピアノを縦にした絵がありますが、これは音程を表しています。発音させたい音程のところにマウスで線を引くと、線の長さ分だけその音程の音が鳴るという仕組みです。
じゃあDAWって音符を打ち込むソフトなのね?
それは正しいけれど、DAWの機能や役割はそれ以外にもたくさんあるよ。
順を追って説明するからね。
シンセサイザー
DAWに音符(MIDIデータ)を打ち込んだら、もう音が鳴るの?
MIDIデータの入力ってコンピューターに楽譜を覚えさせるようなものだよ。
でも楽譜だけじゃ演奏はできないよね?
あっ! 楽器が必要ね!
DTMで打ち込みでコンピューターに演奏させる楽器としてシンセサイザーをメインに使うことになります。シンセサイザーと言えばギュイーン!とかピコピコとかをイメージする方もいると思います。でもシンセサイザーは本当に様々な音を出すことができ、バンドやオーケストラのすべての楽器をシンセサイザーで表現することが可能です。
現在のシンセサイザーは非常に進化していて、かつ、その機能に対してとても安価になってきています。かつての名機と言われた1台何百万円もしたシンセサイザーの音色をパソコン上で手軽に再現できる時代になったのです!
ひとくちにシンセと言っても、いろんな方式のシンセがあるよ。
例えば、ひとつのジャンル分けとして、
- 自分で音作りする「シンセ系」
- 実楽器の音をサンプリング(録音)して忠実に再現した「サンプラー系」
みたいに分けられるかな。
シンセ系はいわゆるシンセサウンドで、EDMやHip-Hopなどのジャンルでもお馴染みです。
一方サンプラー系は「これシンセの音なの!?」と驚くほど実楽器の音の再現度が高かったりします。
でも使い方覚えるのが大変そう…
最近のシンセは予め実用的なプリセット音色がたくさん用意されていて、
自分で音作りができなくてもすぐに楽しめるようになっているよ。
へー、じゃあすぐに使えそうね。
プリセット音色を自分の好みに加工して記憶させることもできるし、
各製品ごとに音作りも簡単にできるような工夫がされているよ。
「ハードシンセ」と「ソフトシンセ」
シンセサイザーって、「楽器屋さんに並んでいるピアノのような鍵盤とたくさんのボタンやツマミが並んでる難しそうな楽器」っていうイメージだけど。
こんなやつ↓
これは単体で音作りや演奏ができるもので、
便宜上「ハードシンセ」と呼ばれるシンセだよ。
一方、コンピューター上でソフトウェアとして動作するシンセサイザーというものも存在していて、
これを「ソフトシンセ」と呼ぶよ。
このブログで”シンセ”と言えばこの”ソフトシンセ”を指すことが多いよ。
ソフトシンセはDAWと同じコンピューター上で動作するので、DAWとの相性が非常に良いです。DAWに最初からソフトシンセが同梱されていることが多く、比較的簡単に接続設定できます。ソフトシンセの音源は有償のものだけじゃなく無償のものも多数存在し、お気に入りの音色を探して追加する楽しみもありますね。
もちろんハードシンセをDAWに演奏させることもできますが、MIDIに関する知識が必要になってくるのでちょっと上級者の領域に入ってしまいますね。ボクもハードシンセは持ってないので、このブログでは今のところ扱いません。
パソコンの中にあるシンセサイザーってことね。
それならいろいろ線を繋いだりしなくていいから楽そうねw
DAWにオマケでソフトシンセが付いてることが多いから、
とりあえずはそれを使えばいいよ。
で、物足りなくなってきたら音源を追加していけば良いし。
ソフトシンセは市販されてるの?
いくらくらいするの?
値段はピンきりではあるけど…。
例えば数万円くらいの出費で数千種類(!)の音色が手に入ります、、と言えばわかりやすいかな。
数百万円もするビンテージシンセの音色が何台分も入っていたり、ピアノや弦楽器などのリアルな音が入っていたり。
かつ、自分で好みの音色を作ることもできるのでコストパフォーマンスは物凄い!
うーん、いきなり数万円の出費は痛いな…。
実は無料で配布してる非常に良質な音源もあるんです!
ボクもお小遣いが少ないので、無料音源には大変お世話になってますw
ボクが使ってる音源は以下で紹介してるよ!
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ボカロPになりたいあなた
DTMって伴奏でしょ?
私はボカロPになりたいんだけど…。
うん、焦らないで!
ボカロも音源=シンセの一種と考えられるから、
DTMの延長として順番に見ていこうね!
ボカロPとは歌声合成ソフトに歌わせる作品を作る人のことです。ボカロPの”P"はプロデューサーの”P"です。
以前はボカロと言えば「初音ミク」を筆頭とするVOCALOID製品の略称でしたが、現在はYAMAHAのVOCALOID以外にも歌声合成ソフトは各社から発売(CeVIO、Synthesizer Vなど)されており、これらも含めて広義のボカロと呼ばれています。
ボカロ曲を作るためにはアカペラ曲でない限りオケ=伴奏が必要になりますね。このブログでは基本的にこのオケも自分で作ることを目指します。その理由は2つあります。
- ボカロも楽器の一つである
ボカロは音楽的に見ればボーカルやコーラスのパートを担いますが、DTMの技術的に見れば楽器の一つです。ギターやキーボードなどの楽器を打ち込むのと似た手順で(他の楽器よりも複雑ではあるが)打ち込んでいくからです。つまりDTMを習得すればその延長としてボカロも習得しやすいのです。 - 著作権の問題
作った作品をYouTubeやニコニコ動画などの動画投稿サイトに投稿したくなりますよね。自分で作詞作曲したオリジナル曲を投稿するのであれば著作権は問題ないですが、カバー曲を投稿する場合には著作権の問題が発生します。YouTubeやニコニコ動画などにカバー曲を投稿すること自体は可能なのですが、「自分で演奏したものに限る」という条件が付きます。例えば有名ミュージシャンのCDにインストゥルメンタルが収録されていることがありますが、これをオケにしてボーカルのみボカロに歌わせた作品は著作権に違反するので投稿できません。しかしオケもDTMで制作すれば投稿OKになります。
このブログではまずDTMでオケを作る手順を紹介し、応用編としてボカロに歌ってもらおうと思っています。
焦らず、気長にお付き合いください。
DAWの入手方法
ところで肝心のDAWはどうやって入手したら良いの?
楽器屋さんで買うの?
普通に楽器屋さんやネットでも買えるんだけど、
いろいろな手段で手に入れられるよ。
お店で買う
これはフツーですね。。楽器屋さんのシンセやDTMのコーナーにパッケージで売ってます。またネットの通販でも買えるし、ネットならダウンロード版も買えますよ。パッケージ版よりもダウンロード版のほうが若干安いことが多いですよ。
参考までに、ボクはSteinberg社のCubase Elements 10というDAWを使っています。
(2023/5/21更新)Cubase Elements 12に更新
オマケで付属してるDAWを使う
DTM関連の機材やソフトウェアを購入するとオマケでDAWが付属していることがあります。何か購入する前には付属品もチェックしてみましょう。ただし付属しているのはオマケや試供品的意味合いがあるので、簡易版であることがほとんどです。しかし簡易版とは言えDTMの一通りのことはできるので、とりあえずそれを使ってみて、気に入ったら製品版にアップグレードする手があります。
ボクの場合は『VOCALOID夢眠ネム』に同梱されていたCubaseというDAWでDTMを始めました。
ボカロには何らかのDAWが付属していることが多いです。
無料(フリーソフト)のDAWを使う
無料(フリーソフト)のDAWもあります。それは製品版のDAWの簡易版であったり、製品版のDAWの旧バージョンが無料で配布されていたりと、ワケありで無料になっているだけなので、一通りのことはできます。
フリーソフトのDAWで有名なのは『Cakewalk by BandLab』です。BandLab Technologies社が開発する無料のDAWで、元はCakewalk社の「SONAR(ソナー)」という有料のソフトで、Cubaseと肩を並べるほどの人気DAWでした。ボクは使ったことがないですが、SONAR時代からの根強いファンが居るようで、ネットにも使い方の情報がたくさんあります。しっかりしたソフトなのでまずは無料で始めるにはうってつけだと思いますよ!
結構、選択肢があるのね。
でもどのDAWを選んだら良いのかな?
DAWの選び方はいろんな基準があるからね。
例えば①予算、②使い易さ、③自分が使うソフトウェアや機材との相性
などなど。
DAWについてはまた別の記事で紹介しようかな。
ボクの場合はどうやって決めたの?
①予算:ボクはボカロの『夢眠ネム』を使いたかったから、付属していたCubaseを使ってる。
だからDAWを単体では買ってない。
②使い易さ:他のDAWを使ったことがないから比べられないけど、慣れるまでは苦労したな…。
③相性:Cubase上で他の楽器と同じようにボーカロイドの打ち込み・編集ができるから便利だよ。
ふーん。使い慣れるのに苦労したのは、
ボクがオジサンだから…ゲフゲフ…。
…(汗)。まあ使い易さは個人差があると思うけど。
あともうひとつ、Cubaseはユーザーが多いDAWの1つだから、
使い方に困ったらネットで検索すれば大抵のことは解決するから助かるね。
そういう部分も選択基準の一つじゃないかな。
あったら便利な機材
とりあえずDAWとソフトシンセなどの音源があれば打ち込みはできるけど、
あったら便利な機材もあります。
もし予算に余裕があったら揃えるべきでしょう。
MIDIキーボード
パソコンにUSB接続するピアノやオルガンの形状の鍵盤の入力機器です。主にDAWにデータを打ち込むときに使うと作業が楽です。もし鍵盤楽器を弾ける人であればMIDIキーボードで演奏したものをリアルタイムに録音(打ち込み)することができるので、もの凄く効率の良いデータ入力が可能です。
microKEY-25はボクが唯一持っている機材だよ(笑)
あれ、ハードシンセと似てるけど?
見た目がハードシンセに似てるけど、音源(シンセサイザー)は内蔵していないので
これ単体では音は出せません。
パソコンに繋いでソフトシンセやDAWをコントロールすることができる、入力用の機器だね。
でもネムは鍵盤弾けないから要らないかな。
いやいや、 鍵盤楽器が苦手な人でも、打ち込む音程の確認や、
ソフトシンセの音色を確認するのに使えるので、できればあったほうが良い物だよ。
上図の例のようなコンパクトなミニ鍵盤から、
本格的なピアノタッチの88鍵モデルまでピンきりで発売されています。
上位機種になっていくと鍵盤数だけじゃなくてツマミやボタンなどが付いていて、
MIDIキーボードからDAWやソフトシンセをコントロールできるものもあります。
オーディオインターフェイス
コンピューターは「デジタル」機器です。一方、「音」は「アナログ」なのです。オーディオインターフェイスはこのデジタルとアナログの入出力および変換を高品質で行ってくれる機器です。
例えばコンピューター上で打ち込んだMIDIデータはデジタルデータですが、それをスピーカーやヘッドフォンを鳴らす前にアナログに変換して出力しています。パソコンにも一応アナログ変換機能は内蔵されているのでオーディオインターフェイスが無くても聴くことはできますが、パソコン内臓の変換機能は決してフラットな音質とは言えないらしいため、DTMをするならぜひ手に入れたい機器です。
また、コンピューターに歌やエレキギターの演奏などを録音したいのであれば必須の機器になります。マイクなどから入力されたアナログ信号を、コンピューター上で扱えるデジタル信号に変換する必要があるからです。
実はボクはまだオーディオインターフェイスは持っていません。。
楽曲を制作する仕上げの段階ではクセや偏りのないフラットな音質で
聴いたほうが良いのは明らかなので、いずれは導入したいと思っています。
モニタースピーカー/ヘッドフォン
見た目、フツーのコンポのスピーカーと変わらない感じだね。
一般的なオーディオのスピーカーやヘッドフォンって、少なからずクセがあったりするんだよ。
例えばヘッドフォンやイヤフォン売り場では試聴コーナーがあって聴き比べられるよね。
同じ音源だけど製品によってずいぶん聴こえ方が違うと思うんだ。
ロックに最適だったり、クラシックに最適だったりとそれぞれチューニングが違うから好みで選ぶ感じでしょ?
うん、確かに。
でもDTMは音源を作る作業だから、できるだけ原音を素の状態で聴いてバランスを調整してあげたほうが良いんだ。
例えば重低音が鳴るスピーカーで聴いて調整した音源を別なスピーカーで聞いたら低音が全然聴こえない、、みたいになっちゃう。
モニター用のスピーカー/ヘッドフォンはあくまでも原音に忠実でフラットな特性を持っています。楽曲を仕上げる時にできるだけ原音のままバランスを調整してやることで、市販のどのようなオーディオ機器で聴いても最適に聴こえるようにすることができるという考え方です(まあ、仕上げする人の技量にもよると思いますが)。
オーディオ用に比べるとお値段はそれなりに高くなりますが、投資に見合う価値はあるらしいです。ボクは古いコンポと普通のヘッドフォンしか持ってないですが。。
また、せっかく音の出口に良いモニタースピーカー/ヘッドフォンを用意したとしても、先に挙げたオーディオインターフェイスが無いと品質の良いアナログ信号が出力されないので、宝の持ち腐れになってしまいます。なのでモニタースピーカー/ヘッドフォンを導入するならオーディオインターフェイスは必須ですね。
今回のまとめ
やっぱり、なんだかんだでお金かかるね
確かにおすすめのソフトウェアや機材を揃えると出費がかさむね。
でもそれはプロ並みの環境を揃えるなら、、という話。
趣味で楽しむ範囲なら最小限の構成(パソコン+DAW+ソフトシンセ)
で初められるから、まずはそこから初めたら良いんじゃないかな。
▼ボクなりのボカロ・DTM解説(3)に続く
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ボクが使用しているソフトウェア DAW Steinberg Cubase Elements 10:世界中で愛用される DAW、Cubase。どんな種類の音楽でも直感的に素早く作成することができる、最強 ...
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