KOMPLETE 12 ULTIMATEという最高峰の音源を入手(とある方から譲っていただいた)して、今のところ主に使っているのがギターとベースの音源だったりします。KOMPLETEと言えばMASSIVEやREAKTORなどのシンセを使いたくて購入する方も多いと思いますが、ボクはまだ使いこなせていないのが現状です(宝の持ち腐れとか言わないで! いずれ使うから!)。
で、ギターとベースの音源ですが、単体でも販売している優秀なヤツが入ってます! 今回はベース音源であるScarbee Bassシリーズを取り上げてみたいと思います。「シリーズ」と言っているのは数種類のベース音源があるということで、
- SCARBEE PRE-BASS / SCARBEE PRE-BASS AMPED
- SCARBEE MM-BASS / SCARBEE MM-BASS AMPED
- SCARBEE JAY-BASS
- SCARBEE RICKENBACKER BASS
が入っています。それぞれの違いはモデリングの元になったベース機種の違いということで、簡単に言えば「音色」が違うということです。またPRE-BASSとMM-BASSにはAMPEDという音源もあり、これはアンプを通した音が録音されているバージョンになります。
ボクは鍵盤の経験しかなくてギターもベースも弾けないのですが、ハンマリング、スライドといった弦楽器特有の奏法も詳しくはないです。打ち込みするにも最初は用語がわからなかったので、そのへんも含めていろいろな奏法の打ち込み方を自分のためにもまとめておきたいと思います。
使い方を調べよう
KOMPLETEの各音源にはちゃんとマニュアルがあります。しかし英語…。英語が苦手な人は辛いですね(ボクも含めて)。なんとか翻訳しつつマニュアルを読んでも、ひととおりの機能が説明されているだけで実践的じゃない。たぶんギターやベースを弾ける人が読んだらピンとくるのかもしれないけど、ボクのようなシロウトが読んでもチンプンカンプンでした。
そんなときはネットで調べるしかない! 誰か親切な人が具体的な解説を公開しているかも!
と、調べてみたらSLEEP FREAKSさんの解説を発見! SLEEP FREAKSさん、いつもお世話になってます!!
sleep freaks MEDIA SITE
SLEEP FREAKSさんの解説記事の良いところは動画付きなところです! DTMは成果物が「音」であるため、動画で実際の音を確認できたほうがとてもわかり易いです。なのでボクはSLEEP FREAKSさんに限らずDTM関連の動画はよく見て参考にしてます。
解説ではMM-Baseを取り上げてますが、SCARBEEシリーズであれば操作は同じです。
というわけで詳しくは上記のリンク先を見てね~…。あっ、解説終わっちゃった(汗)
実際の楽器ではどう弾いてるの?
実際の楽器ではどう弾いているのか、どんな音が出せるのかを見ればより一層イメージしやすくなると思います。それでは上記のテクニックをどんな風に使えばよいのか、ボクなりに少しだけ補足してみたいと思います。
YouTubeで「ベース 初心者」などと検索するとベースの選び方やピッキングの仕方など、たくさんの動画が公開されています。その楽器のことを知っていたほうが絶対にDTMでも役立つのでぜひ見てみることをおすすめします。
例えば以下は『魅惑シネマ』というバンドのVo.Ba.『じゅりー』さんという方のレッスン動画で、ハンマリング、プリング、スライド、グリスの弾き方を解説してくれています。じゅりーさん、ありがとうございます!
DTMでの使いどころ
グリス/スライド奏法
どちらも弦を押さえたまま指板の上を滑らせる奏法で、スライドは始点と終点が指定される場合、グリスは始点または終点が指定されていない場合と解説されています。スライドは音と音をつなぐ小さなフレットの移動、グリスはアクセントとなる大きなフレットの移動と考えてください。
グリスのサンプル
例えばグリスはフレーズの頭や、フレーズとフレーズの間などにアクセントとして入れることが多いと思います。「ボン、ボン、ボン、ドゥーン」みたいな感じですね。他の楽器が鳴っていないスキマに入れると目立ってカッコいいです。例をあげてみます。
シンセのアルペジオから始まってこれから始まるぞーと高まってきたところでベースのグリスをきっかけに全部の楽器が鳴り出す、、という感じです。
スライドのサンプル
スライドは例えば「ドドドドドドドド ミミミミミミミミ」と刻むところで、ドからミに移るときにスライドさせて繋いでやる場合などに使います。こうやって繋ぐと哀愁感が出てきますね。
打ち込みのポイント
SCARBEEで打ち込む場合、スライドもグリスもやり方は同じです。違うのは前述の通り始点と終点が近いか遠いかです。以下はサンプル②の打ち込み画面です。
- スライド/グリスする始点の音と終点の音をできるだけギリギリまで重ねます
- 始点の音と終点の音が同じ弦で発音されるように弦を指定します。これは弦楽器は同じ音階でも違う弦の違うフレットから発音することができるためです。SCARBEEが自動的に別の弦を選択しないように弾く弦を指定してあげる方が確実です
(注:上図ではE0(4弦)を指定していますが、音程が高くなれば3弦、2弦、1弦を指定します) - スライド/グリスする始点の少し前でサスティン(Sustain CC64)をONにし、終点の音のお尻でOFFにします
- ここで演奏させてみて、スライド/グリスのスピードをベロシティーで調整します。ベロシティーが高ければスライド/グリスが早く、低ければ遅くなります。何度か調整を繰り返してみてください
ハンマリング/プリング奏法
ハンマリングとプリングは言葉で説明するのは難しいので、上に貼ったじゅりーさんのベース講座を見てください。……見ましたか? 動画を見てもらえばどんな奏法なのかはわかっていただけると思いますが、ボクは新たな疑問がわきました。
「それって弦楽器の奏法ってことでしょ? ハンマリングしようがプリングしようが出る音は一緒じゃないの? だったらDTMには関係ないんじゃない?」
ってことです。なので調べてみました。ポイントは以下です。
- 隣り合う音が半音または1音(全音)違う場合に使う
- 音を滑らかに繋ぐ
ギターやベースはピッキング(はじく)することで音を出します。ピッキングしたときにアタックがかかります。一定のピッキングで弾くと力強さはありますが、単調になってしまいます。
一方、ドからレに行くときにハンマリングを入れてみると、
微妙な違いですが、音階を登るときに滑らかになります。これはレのアタックが微妙に弱くなっているためだと思います。
打ち込みのポイント
これはスライド/グリスに比べれば簡単です。始点の音を終点の音に重ねてやるだけです。
ハンマリングは下から上に登るとき、プリングは上から下に下るときの違いで、打ち込み方法は同じです。前述の通り始点と終点の音階が半音または全音までの距離であることが条件です。また、ハンマリング・プリングがかからない時はスライド・グリスと同様に同じ弦で弾かれるように弦を指定してあげてください。
最後に
ベースを打ち込むときにただ音符を並べるだけでなく、上記のテクニックを使って曲にアクセントを付けたり、ニュアンスを変えてあげたりすると演奏が表情豊かになります。そのあたりをボクなりに解釈して打ち込んでみたものをこの記事の最後のサンプルとして貼っておきます。
音が駆け上がるところでハンマリング、お尻の部分でグリスを入れています。ハンマリングによりちょっと力が抜けた感じで音が上がっていくのがわかるでしょうか?
実は音が滑らかに上がっているのはハンマリングだけでなく、チョーキングというテクニックも使っているので紛らわしいかもしれません。打ち込み画面はこんな感じです。
ちなみにチョーキングはここでは詳しく解説しませんが、弦を上に持ち上げたり下に下げたりして音程を変える奏法です。打ち込みではピッチベンドというパラメータを使用します。
今回はベースを取り上げましたが、スライド/グリス、ハンマリング/プリングのテクニックはギターも同様です。ぜひ知識として覚えておいてください。
また、SCARBEE BASSのシリーズではこの記事のように打ち込みますが、音源が変われば打ち込み方も異なると思われますのでご注意ください。
それでは素敵な曲を制作してください!